ポピー畑へつれてって

ポピー畑へつれてって

ポピー畑のまん中で静かに倒れていくのです

その香りのなかで眠りたいのです



ライマン・フランク・ボームのドロシーは

ライマン・フランク・ボームの都合により

ポピー畑の眠りから醒まされて

長い旅をつづけなければならなかった



わたしの場合は誰の都合ということもなし

とりあえず眠りつづけていたいもので

ひとりが好きなふりをして

いつも誰かと手を握りあっていたかった内臓の

その痛みは誰にも伝わらず

わかりあえるというまやかしだけは避けたいもので



ポピー畑へつれてって

静かに倒れていくのです

そうして眠りたいのです